受講者の声 看護師・助産師コース
保健師・看護師 三浦 路里 様
念願だった緩和ケア病棟勤務となったのは、看護師10年目になる年でした。それなりに経験を積んできたと自負していましたが、緩和ケア病棟では患者さんやご家族のスタッフの関わりが非常に濃密であり、これまでの経験だけでは対応に戸惑う場面が多くありました。そして関わりが濃密であるが故に、患者さんが命の終焉を迎えた時に悲しまれているご家族や、遺族となったご家族に対して「もっと何かできることは無いのだろうか」と、毎回、宿題を与えられているような気持ちでいました。一般的に病院という施設の主役は患者さんであり、どんな形であれ主役が『退院』をしてしまえば、家族との関わりもそこで終了となります。当院緩和ケア病棟では四十九日の便りと1回/年の遺族会が、ご家族のその後を知る手段なのですが、実のところ気がかりなご家族ほど遺族会に参加されないことが多いのです。このように自分の抱いている課題の答えが見つけられる研修は無いかと探していたところ、京都グリーフケア協会に辿り着きました。少人数制の研修であること、名古屋からアクセスしやすいこと、月2日間×3か月というスケジューリングが選択の決め手となりました。
恥ずかしながら研修を受講する以前は「グリーフケアとは病気や災害、事故などで遺族となった方への特有のケア」と捉えておりました。しかし「グリーフとは大切に感じている対象を失うことに対する悲しみ」と捉えるのであれば、グリーフケアとは決して特別なケアでは無いと気づいたのです。病院は加齢やADL低下やボディイメージの損傷、自己イメージの喪失などといったグリーフを感じる方や場面が多く集まっていると言えます。つまり悲しみに打ちひしがれた人達にどう寄り添うかを考えることは、看護の基礎であり、グリーフケアはどんな看護場面においても必要なケアと言えるでしょう。研修を受講する前の私は「緩和ケア病棟で働く看護師として」という部分を意識しすぎていたのかもしれません。
現在、部署の現任教育担当としての役割を担っています。病棟研修会やカンファレンスなどの節目で『グリーフとは何か、グリーフを癒すために何ができるか』と投げかけるようにしており、最近ではスタッフもグリーフケアについて関心が高まってきたという手応えを感じています。京都グリーフケア協会で得た知識をこれからも周りのスタッフと共有し、自分たちに出来ることは何かを考え続けていきたいと思います。