受講者の声 介護・福祉従事者コース
木崎 靖子 様
初めて看取りを体験した時「私は介護士として、この人に何が出来るのか?」と思い悩んだことがグリーフケアの勉強を始めたきっかけでした。
2世代・3世代の同居が当たり前の世代では、旅立つ者は家族の声を聞きながら最後まで一緒に過ごしていたでしょう。また、送る者は日を追う毎に眠っている時間が多くなっていく姿を見ていたでしょう。一緒に過ごしているから自ずと心の整理が成されていくこともあったでしょう。送った後は寂しさをかみしめながら神父・僧侶の話を聴き、自分を取り巻く家族が居ることで次の一歩を踏み出せていたと思います。しかし核家族化が進む昨今において、施設が終の住処になる人がおられるのが現状です。その中で介護士に求められる事は多種多様だと思います。
「夜このまま眠ると、朝目覚めないんじゃないかと思って怖くて眠れない」、ご家族様の前では毅然とふるまっていても夜には「○○ちゃ〜ん」と娘さんの名前を呼ぶ声…。ご家族様も知り得ない心の声を耳にすることがあります。娘さんが来所された時に、ご本人様の言葉をお伝えすると、涙ぐまれ「そうですか…そういうことがありましたか。できるだけのことをしようと思います。できるだけ来るようにします。」と言われました。いつも自分の前では毅然とふるまっているので、「強い人だな…」と思われていたそうです。
グリーフケアを勉強していたからこそ、入居者様の今の心情が理解でき声を掛ける言葉も考える事ができたと思います。また、入居者様の中には家族へ面と向かって言えない思いを私達に話される時もあります。その言葉を伝えることでまた、双方間の時間の隔たりを埋めていくこともできます。
「人は生まれて来る時は1人だが、死ぬ時も1人です。」との言葉を聞いたことがあります。場合によってはご家族様より長い時間をその人と過ごしている立場だからこそ、グリーフケアは勉強しておかなくてはならないと強く思います。